銀齢の果て 筒井康隆
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増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」を開始した! 和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町には、もと自衛官、プロレスラー、好色な神父など「強敵」が犇めいている。刃物と弾丸が飛び交い、命乞いと殺し合いの饗宴が続く。長生きは悪なのか? 恐怖と哄笑のうちに現代の「禁断の問い」を投げかける、老人文学の金字塔!


☆中学生同士が、ただ一人の生き残りを賭けて殺し合うと言う、衝撃的な内容で話題になった「バトルロワイアル」。それを、増え過ぎた老人に置き換えてるわけだが、70歳以上の老人が殺し合う「老人バトルロワイアル」とはブラック過ぎて、仮に思い付いても絶対書けないと思う。実際に70歳になった筒井康隆だからこそ、こんな話を書いて発表する事が出来たのだろう。
 往年の筒井康隆なら、もっと過激で容赦のない内容を書いたであろうに、と言う批判は出来ると思う。しかし私は、誰にも書けないこの題材を、70歳の筒井康隆がエンタメ小説として仕上げた事に意義を見いだしたい。やっぱり筒井康隆は凄いのだ。


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