絶対に挫折しない日本史 古市憲寿
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大河ドラマや歴史小説は好きだけど、古代から現代までの日本の通史となるとちょっと自信がない……そんな人は少なくない。覚える用語が多すぎるうえ、ヤマもオチもない歴史教科書に挫折してしまうのだ。だが、思い切って固有名詞を減らしてしまい、流れを超俯瞰で捉えれば、日本史は、ここまでわかりやすくて面白くなる! 歴史学者ではない著者だからこそ書けた、全く新しい日本史入門。


☆社会学者が書いた日本史の本と言う触れ込みで、固有名詞を極力出さないのが特徴。学生時代、人名や年号を暗記する教科として、忌避して來た人でも抵抗なく読めると言う意味だろう。人名が出ず、日本の歴史を巨視的に捉える試みは目新しく、刺激的だった。ただ、日本史好きな人は、人名があまり登場しないのに、不満を覚えるかも知れない。それを気にしなければ、第一部の通史は斬新で面白かった。

 が、筆者の力が入っているのは、第二部のテーマ別の歴史で、社会学的観点から、世間にはびこる俗論を痛烈に批判していて、痛快であった。一つだけ例をあげると「家族と男女の日本史」。エセ保守の人たちが主張する、日本の「伝統」的な家族像の欺瞞を暴き、古市氏の面目躍如であった。


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