模倣犯5 宮部みゆき
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真犯人Xは生きている――。網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯・高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となった。由美子はそんな網川に精神的に依存し、兄の無実を信じ共闘していたが、その希望が潰えた時、身を投げた――。真犯人は一体誰なのか? あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇、深い余韻を残して遂に閉幕!

☆やはり宮部みゆきを信じて良かったと、納得する感動のラストだった。由美子の自殺あたりから、涙腺が緩み、有馬老人が真犯人に言葉を投げ掛ける頃には、感涙していた。これだけ沢山の伏線を、納得のいくよう丁寧に回収して見せた手腕には脱帽するよりない。

 タイトルに込められた意味合いが、ラストでようやく解る構成も流石。前巻で疑問を感じた、心理描写のない真犯人の描き方も、最後の最後に馬脚を表す彼の醜さの、効果的な演出になっていたと思う。


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