キラー・イン・ザ・レイン レイモンド・チャンドラー
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村上春樹の『ロング・グッドバイ』の新訳刊行を機に、再評価の気運が高まるレイモンド・チャンドラー。その全中短篇を、当代一流の翻訳者による新訳でお届けするのが「チャンドラー短篇全集」(全4巻)だ。第1巻には、1933年の記念すべきデビュー作「ゆすり屋は撃たない」、『大いなる眠り』の原型となった表題作をはじめ、「スマートアレック・キル」「フィンガー・マン」「ネヴァダ・ガス」「スペインの血」の6篇を収録。解説/木村二郎、巻末エッセイ/原尞


☆表題作は「大いなる眠り」の原型と言う事だが、いつものチャンドラー節が全開で、大いに堪能した。元は違ってた探偵の名前がフィリップ・マーロウだったからだけではあるまい。他作品は名前だけでなく、マーロウとはかなり印象の違う探偵だったと思う。一言で言えば、より荒事で活躍する強面の探偵か。
 やはり個人的には表題作が抜群に良かった。マーロウの依頼人が、不器用な愛を注いだ若い女性に翻弄されて破滅する乱暴者、と言うのも泣かせるんだよね。


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