ゴーストハント2 人形の檻 小野不由美
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「十二国記」の小野不由美の原点! ミステリー&ホラーの傑作。 父親不在の女性ばかりの瀟洒な古い洋館で起こる不可解な出来事の解決を依頼してきたのは、その洋館に住む若い妻だった。なぜかまたもや合流することになった霊能者軍団とともに、さっそく調査を開始した渋谷サイキックリサーチ(SPR)の一行。そんな彼らを嘲笑うかのように、怪しい物音、ポルターガイストはじめ、超常現象が頻繁にかつ規模が大きくなり……。やがて麻衣は一家の一人娘、礼美の持つアンティークドールが不穏な気を放っていると察知し、ナルは家を覆う悪意を科学的に執拗に調査してゆく。「残穢」「営繕かるかや怪異譚」シリーズへとつながる小野不由美のホラーの原点ともいえる傑作。


☆1巻に続いて読んだ。これ、本格的に怖がらせるように書いたら強烈なホラーだろうなと思ったが、おちゃらけ霊能者軍団のおかげで、ちっとも怖くなかった。まあ、やはり本来少女向けなんで、そこまで本格ホラーとして書かなかった、と言うことか。
 個人的な感想としては、オカルト風味のキャラクター小説として、読んでいて楽しかった。筋立てがしっかりしており、それに沿ってキャラを動かす安心感のあるエンタメ作だ。前作で無能ばかり目立ったフェロモン巫女や、生臭坊主も、一応力を示す見せ場が用意されており、単なるお笑い要員でない事がわかったのは、作者なりの優しさか。

 主役のナルも、超常現象に、科学的合理性を持たせる捜査だけでなく、やはり常人と違う力を持っていたのは意外な展開。超常現象に見えても、科学的な説明が出来るのだと言う結論だった前巻に比べて、悪霊が存在する事を前提にした今巻はオカルト度アップ。ナルと霊感美少女との不自然な関係に関する仮説も披露されて、次巻への期待を膨らませられる、オカルト風味のエンタメ作であった。 


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