PK 伊坂幸太郎
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彼は信じている。時を超えて、勇気は伝染する、と――人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。

☆何の予備知識もなく読み始め、似たようなテイストだが、全く別の短編を集めたのかと、思っていた。始めの2作品は同じ設定らしく、登場人物もかぶってるけど、何かちょっと違う。ラスト作は全然独立した作品なのかと思い、大森望の解説を読んでビックリ。タイムトラベルものの、連作SFだったとは。なるほど、だから登場人物が同じでも、年齢が合わなかったり、齟齬があったわけだ。解説で初めて、意義のある作品群である事がわかった次第。
 だが、再度読み返して確かめる気にはならなかった。いつもとジャンル違いであるのを意識したか、エンタメ度を抑え、純文学寄りに書いてるためだと思う。微妙な評価とせざるを得ない。


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