虚構推理 スリーピング・マーダー 城平京
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私たちは概ね嘘で出来ているのですけれど、理(ことわり)だけは通しているのです。お読みになればお解になれます。 ーー京極夏彦、歓喜! 全てが嘘なのに面白い。怪異【不合理】を虚構【不真実】でねじ伏せる、定石破りの屁理屈推理バトル! 井上真偽、驚嘆――! 「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」 妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、大富豪の老人に告白される。彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが! 琴子はいかにして、妖怪の存在を伏せたまま、富豪一族に嘘の真実を推理させるのか!? 虚実が反転する衝撃ミステリ最新長編! 【虚構推理シリーズ】 『虚構推理』 『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 『虚構推理 スリーピング・マーダー』


☆このシリーズを読んでいる事が前提のような作品。岩永と九朗の特殊性を理解してないと、話自体理解不能と思われ、その意味ではややハードルが高い。

 そもそもこのシリーズを、従来の意味合いで「本格ミステリ」と考えるのは無理がある。妖怪の力で不可能犯罪をやられたら、何でもアリで、手の打ちようがない ー が、この設定で理屈っぽい「本格ミステリ」を、何とか成立させたアクロバットが、このシリーズのキモである。

 個人的には好きになれないが、岩永のキャラは立っており、キャラクター小説としても魅力的だ。だが私はこの設定で強引に「本格ミステリ」を仕上げた、作者の創意を評価したいと思う。


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