ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 上巻 宮部みゆき
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空想です――。弁護人・神原和彦は高らかに宣言する。大出俊次が柏木卓也を殺害した根拠は何もない、と。城東第三中学校は“問題児”というレッテルから空想を作り出し、彼をスケープゴートにしたのだ、と。対する検事・藤野涼子は事件の目撃者にして告発状の差出人、三宅樹理を証人出廷させる。あの日、クリスマスイヴの夜、屋上で何があったのか。白熱の裁判は、事件の核心に触れる。

☆大長編のクライマックス直前の巻。中学生が謎めいた同級生の死の真相を明かすため、本格的な陪審員裁判を実施すると言う荒唐無稽なストーリーなのに、リアリティーを強く感じるのは、ここまでに積み上げて来たエピソードの執拗な書き込みの賜物か。  迫真の裁判描写が繰り広げられる中、ラストに登場した告発少女に向けた、死亡した少年とかつて関係があった弁護人の謝罪するような眼差しに、明らかに偽証して皆に厳しく見られている少女に救いの手を差しのべる宮部みゆきの優しさが感じられた。
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