母性 湊かなえ
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女子高生が自宅の庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が入り混じり、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。


☆作風的に姑の嫁イビリと言うのはピッタリの題材だったが、嫁の連れ子との関係も描いたのがキモか。母と娘双方の立場でドロドロした心理劇を描く、湊かなえらしい作品だが、読んでいてそれほど嫌悪感を覚えず、やや中途半端な印象を受けた。

「母性」をテーマに、いびつで歪んだ女性心理を表現したかったのだろうけど、リルケの詩篇を挟むなど妙な純文学志向はいかがなものか。ストーリーは刺激的な事件が起こるエンタメ作なのだから、もっとえげつない女の確執を読みたかったと思う。私は影の薄い男の立場で読んだのだけど、ちょっと残念な女性キャラのオンパレードで、面白い「イヤミス」になる要素は十分だと思う。

 下手に文学性を持たせようとしない方が、湊かなえの「毒」が生きるのではなかろうか。


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