虚構推理短編集 岩永琴子の出現 城平京
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私たちは概ね嘘で出来ているのですけれど、理(ことわり)だけは通しているのです。お読みになればお解になれます。 ――京極夏彦、歓喜! 全てが嘘なのに面白い。怪異【不合理】を虚構【不真実】でねじ伏せる、定石破りの屁理屈推理バトル! 井上真偽、驚嘆――! 妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。――「ヌシの大蛇は聞いていた」 山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。――「幻の自販機」 真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!


☆まず小説を読み、アニメを視聴して鋼人七瀬以外のストーリーもあるらしいと知った。それから、この短編集に手を伸ばした人間である。

 アニメによってヒロイン琴子のヴィジュアルイメージが補完され、それが個人的に好みだったのは 確実にプラス。(だからこの短編集を読もうと思ったわけでもある。)深窓の令嬢なのに毒舌家でお下品と言う琴子のキャラもヴィジュアルで許そうと思った。九郎との不自然な関係も目をつむる。

 が、肝心のストーリーは頂けない。妖怪変化が絡むのでまともなミステリーとしては読めない。琴子が妙に理屈っぽく推理らしきものを披露するのがキモと思うが、上滑りで私には面白さが伝わらなかった。鋼人七瀬のくどい程の論理構築は面白かったのだが。

 リアリティー皆無のキャラクター小説と評したい。
 


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