3652: 伊坂幸太郎エッセイ集
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エッセイが得意ではありません――。自らはそう語る伊坂幸太郎がデビュー以来ぽつぽつと発表した106編のエッセイ。愛する小説、映画、音楽のこと。これまた苦手なスピーチのこと。憧れのヒーローのこと。趣味を語る中にも脈々と流れる伊坂的思考と、日常を鮮やかに切り取る文体。15年間の軌跡を辿った、初のエッセイ集。裏話満載のインタビュー脚注に加え、幻の掌編2編を収録。


☆今や確固たる地位を築いた井坂孝太郎のデビューからの10数年を、単年毎の発表作も掲載しつつ、発表した雑文をまとめたエッセイ集。一応毎年の干支にちなんだエッセイの1サイクルと言うまとまりはあるものの、基本的にはあまり統一感のない、正に雑文集。自分でも悪戦苦闘ぶりを愚痴っている干支エッセイの出来映えから、エッセイが得意でないと言うのには失礼ながら納得した。

 好きな小説家やミュージシャンや映画の話が多いが、ほとんど知らなくてあまり興味を持てなかったのは事実。しかしながらその年に発表した作品についての話はとても興味深かった。井坂孝太郎ファンなら大いに楽しめる内容だと思う。


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