皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上巻 塩野七生
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12世紀が終わる頃、神聖ローマ皇帝とシチリア王女の間に一人の男子が生まれた。少年は両親をはやくに失い、絶大な権力をもつ法王の後見を受けたが、帝位に登り、広大な領土を手中にすると、法王との関係が緊張。法王に十字軍遠征を約束するが、剣ではなく交渉を選んだことでますます反感を買い、ついには破門に処されてしまう……。生涯を反逆者として過ごした中世を代表する男の傑作評伝。


☆中世ヨーロッパを象徴する、ローマ法王に反逆する皇帝フリードリッヒ2世の波乱に満ちた生涯を描いた評伝。いかにも塩野七生好みの快男児として描かれているが、そうゆう贔屓目なしで見ても、中世の暗部を象徴するかの如きローマ法王側の頑迷さがよく伝わって来る。だがそうゆう法王サイドを逆手に取り、自分の意志を貫徹したフリードリッヒ2世が目指したのは、現代にも通じる法治国家であった。なるべく武力を行使せず、外交で問題を解決しようと言う姿勢は極めて現代的で、学ぶべきものがあると思う。

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