水滸伝 2 替天の章 北方謙三
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梁山湖(りょうざんこ)に浮かぶ天然の寨(さい)には、世直しを志す者たちが集まっていた。しかし頭領である王倫(おうりん)の堕落により、今は盗賊同然の集団となっている。宋江(そうこう)の命を受けた林冲(りんちゅう)は、安道全(あんどうぜん)とともに寨に入りこんだが、そこには幾多の罠が待ち受けていた。一方、晁蓋(ちょうがい)は、巨額の税が賄賂として宰相に贈られることを知る。民の苦しみの結晶であるその荷を奪うための秘策とは。熱く血がたぎる「北方水滸伝」、第二巻。



☆続々と同士が集まり、腐敗した盗賊のアジトと化していた梁山泊の乗っ取りに成功したところ。破壊工作要員として送り込まれた林沖が、盗賊の首魁王倫の暗殺計画を交わしながら志ある盗賊達を煽動して梁山泊内の世論を味方に誘導。遂に王倫を斬るクーデターを成し遂げると、すんなり晁蓋への政権交代が受け入れられる。スパイ小説さながらの展開が面白かった。
 膨大な人物が登場するが、林沖・史進・楊志ら有名所だけでなく、脇役もしっかり活躍するのが印象的。一巻に引き続き、偏屈医師安道全が実にいい味を出していると思った。まるでブラックジャックみたいな存在感がある。
 全19巻の大作で、さらに長大な続編も書かれている北方謙三のライフワーク。実に楽しみである。


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