京都寺町三条のホームズ(9)恋と花と想いの裏側 望月麻衣
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1月になり大学にも馴れてきた葵だが、
伏見の老舗酒造「幸谷酒造」で修業中の清貴とは、
なかなか会えない日々。近頃は、親友の香織が所属する
フラワーアレンジメントサークルが節分祭りに出店するカフェを手伝っていた。
そんなある日、三回生でリーダーの郁美が突然、サークルを辞めると言い出す。
一方、幸谷酒造では家宝の徳利がなくなったと大騒ぎ。
二つの出来事の裏には、それぞれの切ない想いが潜んでいた――。


☆前巻から引き続きホームズ君は修行中で葵とは遠距離恋愛状態。女子高生だった彼女が大学に進学して成人になったのを機に、肉体関係に発展(あけすけでごめんなさい)すべく、2人で旅行を企画する、と言う感じで今巻は終わり。
 一応キャラクターミステリという惹句は残っているが、前巻からミステリ成分は非常に薄まり、ホームズ君が推理することはほとんどなくなった。又メインの話の舞台がひらかたパークで、京都成分も激減。ストーリー自体も全然ひねりのないミステリ仕立てで、完全にキャラクター小説、特に恋愛中心の小説になってしまった。それも女性向けの内容で、私のような読者は場違いも甚だしいか。イケ面で高学歴、金回りも良さそうなホームズ君に、普通の女子高生バイトだった葵が見初められて熱愛関係になると言う、女性の願望充足小説だと思えば腹も立たない。又ステリとして見たらどうかと思うが、さまざまなうんちくは読んで楽しく、まあ時間を損した感はなかった。


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