将棋は歩から (上巻) 加藤治郎
510P5Hw7cnL__SX323_BO1,204,203,200_

加藤治郎名誉九段による、歩の使い方だけを、上中下の三巻に渡って解説した名著です。 特に初心者の方におすすめで、将棋を覚えて、将棋が面白いと感じられた方なら、楽しく読めると思います。 この本では、歩の使用法を18種類に分けています。 前に一マス進むだけの歩に、18種類もの使い方があるのです。 中でも「ダンスの歩」の印象が鮮烈でした。歩が何枚かあると、形によっては金を取れてしまう手筋ですから。ちなみに「ダンスの歩」などいくつかは著者加藤名誉九段自身の命名だそうです。 あとは、「垂れ歩」を知らない方は、覚えると、とても効果があると思います。 なんといっても、と金は間に合えば強力無比です。 手筋の解説のほかに、豊富な実戦例を使って解説してあり、木村名人、升田名人、大山名人といった懐かしい面々が登場されるのもオールドファンには嬉しいところです。


☆とにかく強くなりたいと真剣に考えてた学生時代に出会った名著。読んでみて他とは一線を画する本格的な棋書であることをひしひしと感じ、この上巻の内容を身に付ければアマ三段になれると言う言葉を信じて、何度も繰り返して読み耽った。そして実際にアマ三段まで上がる事が出来たので、額面通りであった。
 歩の手筋を集めた手筋書ではない。特に上巻は歩に焦点を当てて、プロの棋譜を題材に将棋の指し方の基本を教えてくれる内容だ。そのため決して即効性のある上達本ではないが、ただ丸暗記するだけだったかも知れない定跡の一手一手の意味を考える事が出来るようになり、それなりに学生将棋では実績も残せるまでに上達出来たと思う。例えばプロ同志の対局では無条件で一歩を損すればそれだけで勝敗が決してしまう、と言うのを体感出来たのは大きかった。
 県代表クラス(アマ四段)になる前に諦めた私では説得力に欠けるかも知れないが、ある程度将棋をかじった人が本格的に強くなろうとするのに適した本である。ただ、せいぜい初段くらいで良いと思うなら薦めようとは思わない。題材は古いし、より即効性のある棋書はいくらでも他にある。だが本書が時代を超えて通用する名著である事だけは間違いない。

その他将棋関係レビュー一覧