俗物図鑑 筒井康隆
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評論家だけの風変りな“梁山泊”プロダクション出現――盗聴、横領、出歯亀、放火などタブーとされる芸ばかりに秀でている彼ら俗物センセイは、一躍、マスコミの寵児にのし上がる。しかし、彼らの奔放な活躍ぶりは、次第に世間の良識という怪物の反撃に合い、両者の壮烈な戦いが開始された……。人間の隠された悪への欲望と破壊衝動を、豊かなパロディ精神と言葉の遊びで描き出す長編小説。 ※当電子版には文庫版掲載のカットは収録しておりません。ご了承ください。


☆筒井康隆初期の総決算的内容で、マスコミ批判は鋭く、今でも十分通用すると思う。妄想が破滅へ向かうドタバタ喜劇、女性蔑視などいかにも作者らしい内容だが、徹底した下品な描写で、読むのに注意が必要。面白いが読み手を選ぶ作品と思う。
 取り扱い要注意の猛毒ツツイ菌と評したい。ラストが気に入ったのであえて最高評価とするが、うっかり読んでしまって気分を害する人がいたらご容赦を。


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