涼宮ハルヒの消失 谷川流
無題



「涼宮ハルヒ?誰のこと?」珍しく俺の真後ろの席が空席だった12月18日の昼休み。颯爽と現れてその席に座ったのはハルヒではなく、長門との戦いに敗れて消滅したはずの委員長・朝倉涼子だった。困惑する俺に追い打ちをかけるように、名簿からもクラスメイトの記憶からもハルヒは消失していた。昨日まで普通だった世界を改変したのは、ハルヒなのか。俺は一縷の望みをかけて文芸部部室を訪れるが―。


☆劇場版アニメで感動したのだが、基本的に同じ感想を述べたいと思う。私はこのシリーズはFEMDOM(女性優位)なSM構造が基本だと思っている。SMと聞いただけで、いかがわしいものだと眉をしかめる人も多いと思うが、18禁の性愛に限ったものではない。もちろん詳しく述べるつもりもないのだが、SMとは互いの心が通じ合って初めて成立するもの。消えてしまったハルヒを狂おしく求めるキョンは、失ってからようやくハルヒとの関係性を痛切に自覚したのだ。何なら「愛」と呼んでもいい。
 さらにキョンは、SOS団の仲間との関係性をも回復を願い、濃密だったハルヒを中心の世界を取り戻すため、まるでキャラが変わったかのように熱く行動する。熱血青春ドラマのノリで、普段がシニカルなキャラだけに感動的だった。


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