平成最後のアニメ論: 教養としての10年代アニメ 町口哲生
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●本書の内容
アニメは私たちが生きる今を映す「文化」であり、
それ自体が分析に値する「学問」である。
『君の名は。』を通して日本の古典文学の豊穣な世界観に触れられるし、
『けものフレンズ』からは人類史を、
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』からはヘーゲル哲学を、
『シドニアの騎士』からはバイオテクノロジーの現在地を学べる。
「週20本以上の深夜アニメ視聴」
本気すぎる受講条件で話題を呼んだ近畿大学の講義本、完結!

●装画イラスト
『COPPELION』『CANDY & CIGARETTES』の井上智徳先生、書き下ろし!

●本書の構成
<はじめに>
救世主としての新海誠/オタク第四世代と関係性消費 等

<第1部 あの世とこの世>
第1章『君の名は。』夢の民主化と「ディス」しないコミュニケーション
小野小町と在原業平/夢見のシステム/セカイ系の「脱構築」 等

第2章『鬼灯の冷徹』生死の境界が喪われた時代に現れた鬼たち
「再境界化」するアニメ/多様化する「鬼」/「鬼」のエンタメ化 等

<第2部 かわいいと怖い>
第3章『メイドインアビス』ハードな世界観と一〇年代のキャラクター論
冒険ファンタジーと英雄譚/一〇年代は「間キャラクター態」の時代 等

第4章『けものフレンズ』アニメが描く、サピエンス全史から人工生命まで
「動物擬人化」とオスの絶滅後の世界/「ヒト」とは何か/廃墟と文明崩壊 等

<第3部 戦争と宇宙>
第5章『幼女戦記』「萌え」の新境地と大戦間ものブーム
「萎え」の向こう側にある「萌え」/「総力戦」と企業戦士 等

第6章『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』一〇年代ガンダムが辿り着いた祈りとしてのアニメ
貧困問題と少年兵/歴史のアイロニー(理性の狡知)/「ガンダム」が描いた世界 等

第7章『シドニアの騎士』ポストハードSFの誕生と遠い未来学
「系外惑星」と「地球外生命」/三種類の「人工生命」 等

<おわりに>
初音ミクの論じ方/VTuberの論じ方 等

<あとがき――教テンアニメ、そして二〇年代へ>

●著者プロフィール
文芸評論家。専門は哲学・現代思想。近畿大学では映像・芸術基礎、映像・芸術論、現代の社会論を教えている。


☆堂々たる本格的な論考で、学問してる感がハンパない。大学の講義だから当然だけど。正直難解で手に負えない内容もあるが、新書で一般読者向けながら質を下げてないのに好感を持った。
 既刊もそうだったが、一般人の私としては、最新のポップカルチャーの知識を得るのにとても有用だった。今巻で言えば、ボーカロイドやヴァーチャルアイドルについて書かれたおまけのような文章が興味深かった。いつも18禁CGでお世話になってるので、と言うのはヒミツだが。


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