アクロイド殺し アガサ・クリスティー
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名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作。


☆ミステリの女王クリスティーの代表作で、当時フェアかどうかで論争を引き起こした意外な犯人の先駆者的作品。実の所私自身が読んだことがあるかどうか不明なんだけど、内容はまるで覚えていなかった。にも関わらず真犯人は誰だか読む前に知っていた。恐らくミステリ好きなら知らない人はいないと言えるくらいの有名作品だから。
 従ってどのくらい巧みに読者をミスリードしているか確かめるような、本来の楽しみ方とは違う読み方をしてしまった。そういう意味でクリスティーの企みは満点。何しろ私自身、読みながら本当にこいつが犯人でうまく小説として成り立つんだろうか? と不安になったくらいで、余計な事前知識なしで読んだら絶対この犯人はわかるまい。面倒なので細かい点を捕らえてどうこう言うのは控えたい。
 とにかく初めてこのトリックを使ったミステリとして価値の高い作品。読んでみて巧みなミスリードぶりに感心した。と同時に、途中で犯人がわかるなんて読者は、小説の読み方に問題があるのではないかと思った。
 普通の読解力でこの犯人がわかったら、絶対おかしいのだ。この作品はそうゆう結論には到達しないよう、悪知恵では天下一品のクリスティーが全力で書いているのだから。


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