涼宮ハルヒの動揺 谷川流
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文化祭初日、底と間が抜け気味な自主製作映画上映の裏でバニー姿の涼宮ハルヒは講堂で熱唱していた。このハプニングはハルヒの心を少し揺らめかせたわけだが、新たな脳内謎スイッチも入れてしまったらしい。1本の電話から始まる一目惚れ告白、大晦日に開催された古泉主催の推理劇、そして朝比奈さんとの秘密のデート。秋から冬にかけてSOS団に起こった面白イベントは、確かに俺たちに動揺をもたらして―。


☆冒頭の「ライブアライブ」は、自身の高い能力で人を助けて感謝されるハルヒ、と言うらしからぬ健全で前向きな話で、佳作と思ったが、全体的に中だるみと言うか不完全燃焼気味の巻だったと思う。メイキングを読んでしまった後の映画本編はしまらないし、冬山に遭難してしまった後のミステリは、猫を使ったトリックが盲点だが反則気味で、何よりこのシリーズで普通の本格ミステリを期待しているわけではない。長門とみくるにそれぞれ焦点を絞った話では、ハルヒ不在が痛かった。
 やはり良くも悪しくもハルヒあってこそのシリーズであると痛感してしまった次第。どうやらハルヒ菌に感染してしまったようだ。


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