奉教人の死 芥川龍之介
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芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物"という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調高く綴った名作『奉教人の死』、信仰と封建的な道徳心との相剋に悩み、身近な人情に従って生きた女を描く『おぎん』など、11編を収録。


☆表題作を始め日本におけるキリスト教がテーマ。特に虚実取り混ぜて本物らしき擬古文で書かれた作品が特徴か。私には本物の古文献としか読めなかったが、文学的に粋を極めた感があり、芥川の才能には感服。ただし当然ながら読みにくく敷居が高いのは否めない。
 それはともかく内容的にもそれほど光るものはないように思ったのは。私自身の興味関心の問題か。普通の現代日本人にオススメの内容ではない。


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