バスカヴィル家の犬 コナン・ドイル
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深夜、銀幕のような濃霧のたちこめた西部イングランドの荒野に、忽然と姿を現わした怪物。らんらんと光る双眼、火を吐く口、全身を青い炎で燃やす伝説にまつわる魔の犬は、名家バスカヴィル家の当主ヘンリ卿を目がけて、矢のように走る――。きわだった叙景によって舞台となる特殊地帯を一種の密室のように仕上げ、息づまるばかりの緊張を生む、ホームズ物語中最大の長編。


☆1年前入院中に読んだ。レビューを書いてなかったので、思い出しながら書いてみる。予想以上の面白さに、消灯後の病棟で貪るように読んだ。
 夜の病院と言う環境もあったと思うが、おどろおどろしい荒野に現れて咆哮する魔犬の印象が強烈で、ワトスンとの書簡でしか登場しないシャーロック・ホームズが、実は…と言うストーリーは素晴らしくスリリング。明智小五郎に影響を与えたものと思われる。
 冷静に考えればアラも見えるのだろうけど、舞台設定が見事で大いに感心。私が読んだ中ではホームズもののベスト。


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