女流棋士は三度殺される はまだ語録
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かつて天才少年と呼ばれた松森香丞。とある事件をきっかけにプロ棋士の道を諦めた彼は、高校の将棋部でひっそりと活動している。ひと癖もふた癖もある幽霊部員たちに悩まされながら、文化祭の準備をしていたある日、幼馴染みの少女が血塗れで倒れているのを発見する。彼女を襲った犯人を見つけるため、調査を始める香丞だったが、彼女の過去と将棋には大きな秘密があるのだった。


☆大学まで将棋部一筋、将棋ファンで詰将棋マニアと言う私にはストライクな内容で面白く読むことが出来た。冒頭からラノベ感全開で「大丈夫か?」と不安になったものの、何とか投げ出さずに読了。作者が頑張って仕入れたと思われる将棋や詰将棋に関する知識は雑学的なものまで膨大で、全て理解出来てしまう私もどうかと思ったが。舞台となる高校将棋部はまるで私の学生時代の将棋部のようなノリで懐かしさも感じた。もっとも女っ気は皆無だったのが大きな違いだが。
 さてそんな私でも高い評価は出来ない。人工知能と人間の棋士との関係を扱ったテーマはタイムリーだし評価出来る点なのだが、ラノベ感が強過ぎて上滑りしているのが残念。明らかに将棋好きな読者を対象に書かれた作品で、興味がない人には付いていけないと思うが、将棋ファンでも受け付けない人が多いと思う。総じて残念な作品。


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