十二人の死にたい子どもたち  冲方 丁
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2019年1月に衝撃の映画化!

廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「集団安楽死」をすること。
決を取り、全員一致でそれは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか? 「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは……?


☆作者の作品はマルドックシリーズ以外で初めて読んだ。12人少年少女が集まるのはインパクトがあるが、物語の大半は完全な心理劇であまり動きはなく、どのように映像化されたのか、逆に興味がわいた。
 さて、本作の体裁は本格ミステリのようなエンタメ作品。私は軟弱なミステリファンなので、途中で謎を考えるのを放棄したが、13人目の少年を巡って推理するのは複雑で本格の味。だがしかし、大半を占めるのは集団自殺を図るため集まった12人が、予期せぬ13人目の殺人? によって紛糾し、それぞれの思惑を戦わせる心理劇で、個人的には大いに楽しめた。重くならざるを得ないテーマをエンタメ作品に仕上げたのが作者の腕と思うが、本格ミステリと見せて心理劇と言うのは万人向けではなく、やや作品の作りに疑問を感じるところ。リアリティのない本格ミステリを面白がるような読者向きと思う。


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