マルドゥック・アノニマス 2 沖方丁
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企業の内部告発者ケネス・C・Oの行方を追うなかで、ウフコックはパートナーのロックと弁護士サムを〈クインテット〉により惨殺された。保護証人を失ったイースターズ・オフィスは事件不成立より調査を中断するが、ウフコックはサムの遺志を継いで〈クインテット〉への潜入調査を始める。ハンターの緻密な戦略のもと、アンダーグラウンドを制圧する〈クインテット〉の悪徳を、ウフコックはただ傍観するほかなかった。


☆敵役ハンターの魅力に追うところが大きい巻。アンダーグラウンド制圧のため、そうと知られずに仲間を敵の組織に侵入させ、一気にトロイの木馬を仕掛けるハンターの戦略と過酷なサバイバル能力、そして一見定かでない味方を統率し切った彼の凄みが印象に残った。
 最後にバロットが登場し、この物語の終焉を予測させたが、実の所彼女とウフコックの現在の関係性が私にはつかみ切れていない。マルドックシリーズは独特の思弁哲学的内容が難解だ。


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