氷菓 米澤穂信
☆アニメを先に視聴してから手を出したが、思った以上に原作に忠実な作りであった事がやや驚き。アニメではえる嬢が超絶かわいいので、全てを補って余りある感じだったが、小説として読むとそこまでのインパクトは感じられなかった。
人が死んだりしない日常系のライトミステリだが、本質はやや古めかしい学園青春ドラマの心理劇。ミステリだと思って読むと細かいアラが気になってしまう。とりわけラストのオチは、本格ミステリだったら呆れるしかないと思う。
省エネ主義の主人公奉太郎が自分と対極のように好奇心旺盛なえるに振り回されて、やる必要もない推理を披露する、と言う流れで各話が展開する。アニメでは美男美女であるが、これだけ魅力的な設定の美少女に頼られて悪い気持ちになるはずもなく、頭の良さを披露してしまう奉太郎に、大袈裟なまでに感謝の意を表するえる。2人が互いに恋愛感情を抱き始める心の揺れがアニメでは克明に表現されていたが、小説ではどうかと言えるほどきちんとは読めなかった。
又海外を放浪している姉が黒幕のように奉太郎をコントロールしているような節もあり、2人の女の影響で奉太郎がどう変わっていくかが見所なのではなかろうか。少年は女の影響で大人になってゆくものである。
奉太郎と中学校から知り合いで、一緒に古典部に入った里志と摩耶花も興味深いキャラ。摩耶花が告白したのに里志がはぐらかし続けているらしいが、それでも仲良くし続けているのが大人では考え辛い関係。本筋ではないが、この2人の関係が進展するのかどうかも見所か。
傑作(と思う)でハイレベルに作り込まれたアニメ映像の印象が強いので、これだけ原作に忠実なのであれば後から小説を読むのは良くなかった、と言うのが結論。
米澤穂信レビュー一覧
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。
☆アニメを先に視聴してから手を出したが、思った以上に原作に忠実な作りであった事がやや驚き。アニメではえる嬢が超絶かわいいので、全てを補って余りある感じだったが、小説として読むとそこまでのインパクトは感じられなかった。
人が死んだりしない日常系のライトミステリだが、本質はやや古めかしい学園青春ドラマの心理劇。ミステリだと思って読むと細かいアラが気になってしまう。とりわけラストのオチは、本格ミステリだったら呆れるしかないと思う。
省エネ主義の主人公奉太郎が自分と対極のように好奇心旺盛なえるに振り回されて、やる必要もない推理を披露する、と言う流れで各話が展開する。アニメでは美男美女であるが、これだけ魅力的な設定の美少女に頼られて悪い気持ちになるはずもなく、頭の良さを披露してしまう奉太郎に、大袈裟なまでに感謝の意を表するえる。2人が互いに恋愛感情を抱き始める心の揺れがアニメでは克明に表現されていたが、小説ではどうかと言えるほどきちんとは読めなかった。
又海外を放浪している姉が黒幕のように奉太郎をコントロールしているような節もあり、2人の女の影響で奉太郎がどう変わっていくかが見所なのではなかろうか。少年は女の影響で大人になってゆくものである。
奉太郎と中学校から知り合いで、一緒に古典部に入った里志と摩耶花も興味深いキャラ。摩耶花が告白したのに里志がはぐらかし続けているらしいが、それでも仲良くし続けているのが大人では考え辛い関係。本筋ではないが、この2人の関係が進展するのかどうかも見所か。
傑作(と思う)でハイレベルに作り込まれたアニメ映像の印象が強いので、これだけ原作に忠実なのであれば後から小説を読むのは良くなかった、と言うのが結論。
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