街道をゆく〈25〉中国・ビンのみち 司馬遼太郎
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海商を育んだ福建の地で稲作文化のルーツを発見。


☆歴史でもなかなか表舞台に出て来ない、中国福建省の紀行。そもそも東南の国境で、漢民族と違う少数民族の地であり、中国の支配下になったのも他より下るらしい。だが、温暖な気候的にも日本に類似しており、稲作民族として同じルーツなのではないかと筆者は推測。さて本書では福建省の海の民としての歴史にスポットを当てているが、ここでも倭寇など日本との関わりが深いようだ。これらは通りいっぺんの歴史をなぞっていても決してわからない知識で、広い中国のややマイナーな地域を取り上げた今巻も、とても興味深い一冊だった。


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