街道をゆく〈20〉中国・蜀と雲南のみち 司馬遼太郎
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蜀の地・四川から雲南へ―。少数民族七百万の暮らしに日本民俗との接点を見る。


☆三国志で劉備元徳が建国した舞台として日本人には馴染め深い蜀と、完全に未開で蛮族の暮らす辺境として描かれる雲南の地をめぐる紀行。施政者としての諸葛亮孔明も日本でお馴染みだが、現代でも色濃く昔日の面影が残っている様子に感興を覚えた。三国志では諸葛亮に征伐された辺境の地でイメージの良くない雲南だが、実際は気候に恵まれ1年中花が咲いているような暮らし易い土地であり、日本に似ているようだ。現代でも少数民族の暮らすこの地に日本人のルーツを見出す司馬遼太郎の見解はとても興味深い。とても一般の日本人が気軽に行ける地ではないが、いつかは行ってみたいと思ったのは私だけではあるまい。

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