街道をゆく〈19〉中国・江南のみち 司馬遼太郎
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日本文化の影を求めて、古代長江文明の地蘇州・杭州・紹興・寧波をゆく。


☆個人的には何の知識もない地域の紀行だったが、日本との関わりを常に意識しての内容だったので、とても興味深く読むことが出来た。もっとも中心は遣唐使の時代なので、現代の良好とは言い難い両国の関係を思うと隔世の感がある。
 それはともかく、日本史の教科書でしか知らなかった知識が鍛えられ。大いに勉強になった。特に印象に残ったのは、表紙写真のジャンク船など船の話である。思えば遣唐使も船による交流であるし、日中は常に船を介しての国交を展開して来たわけだ。にも関わらず「船」について考える事はわれわれの日常でそうはないと思われる。
 やや古めかしいほとんど時代の遺物みたいな船の考察だが、現代と隔絶しているわけではない。たまには「船」に思いを巡らす事があっても良い、などと思わせる本であった。他にも興味深い内容が満載で読み所の多い一冊。


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