街道をゆく 11 肥前の諸街道 司馬遼太郎
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日本侵略へのフビライの執念に思いを馳せた「蒙古塚」を皮切りに、地図をながめるだけで「にわかに貿易風の吹きわたるにおいを感じてしまう」という肥前のみちをゆく。平戸から長崎へ、中世末の日本が初めて「普遍」の波に洗われた海岸に沿って歩く旅は、世界史的な視野を盛り込んだスケールの大きな「街道をゆく」に。のちの「南蛮のみち」や『韃靼疾風録』への序章ともなった。


☆自分が住んでるのと近い地域の紀行文と言うこともあるが、もしかするとこれまで読んで来た「街道をゆく」シリーズの中で一番ではないかと思うくらい、興味深く読むことが出来た。鎖国してた江戸時代に唯一外国に開かれていた平戸とか長崎、そしていわゆる切支丹大名とザビエル以来の宣教師たちなどの教科書では断片的に知っていた事柄が、いろいろと細かく腑に落ちて快感だった。初めに渡日したポルトガルの宣教師団イエズス会は武闘派の過激なカトリックの教派で、商業の前提として布教したため貿易の利益を求める九州北部の大名たちが入信して切支丹大名になったと言う経緯や、異教のものであるとして寺社を破壊したため豊臣秀吉に迫害を受けることになったとか。そしてポルトガルとスペインのカトリック国は追い払われたが、プロテスタントなオランダとイギリスはそこまで過激でなかったので鎖国時代の日本で唯一の貿易相手国と成り得たのだとか、少なくとも私には初耳の知識を得ることが出来たのはとても刺激的だった。
 高校時代に司馬遼太郎を読んでいたら、少しは日本史を理解するのが楽だったのかも知れない。いや、こんなのを好んで読む高校生は嫌なやつだったろうな。


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