2020年01月

羅生門・鼻 芥川龍之介 京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、生きのびる道をみつける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何と ...

戯作三昧・一塊の土 芥川 龍之介 特に芥川は、この短篇小説という形式を、博大な教養と、並外れた好奇心と、都会人らしい新し物好きの性癖とから、想像しうるかぎりの広い領域にまで探険して、世界にも類を見ない見事な成果をあげた。特に東京下町の環境に育った彼は、江 ...

奉教人の死 芥川龍之介 芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物"という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調 ...

蜘蛛の糸・杜子春 芥川龍之介 地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落っこちる『蜘蛛の糸』。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつ ...

地獄変・偸盗 芥川龍之介 “王朝もの”の第二集。芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古金襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた『地獄変』は、芥川の一代表作である。ほかに、羅生門に群が ...

本の読み方 スロー・リーディングの実践 平野啓一郎 本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか? 闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、「速読コンプレックス」から ...

山猫珈琲 上巻 湊かなえ 「山」「猫」「珈琲」は著者がとても好きで大切にしているもの。 これらに励まされ、また癒され、日々の執筆活動に励んでいる。 上巻は、朝日新聞、神戸新聞、日経新聞などに連載されたエッセイを収録。 デビュー10周年記念の初エッセイ集、遂に文 ...

あの夏で待ってる 男の子には「なにもないけど、なにかしたい」という漠然とした気持ちがあった。だから仲間と一緒に映画を撮ろうと相談していた。そんな時、「特別」な女の子がやってきた。そして男の子の気持ちを「特別」にした。男の子の名前は、霧島海人。女の子の名前 ...

カラマーゾフの兄弟(上)ドストエフスキー 物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョード ...

遅読術 適菜収 「速読はバカの早食いと同じ! 」 ロクでもない情報を遮断し 人類の「知の遺産」を味わい尽くせ! ショウペンハウエル、ヴィーコ、三島由紀夫、 ヤスパース、三木清、ニーチェ、 大江健三郎、ヘッセ、小林秀雄、ゲーテ……。 彼らはどのように本を読んだ ...

ノックス・マシン 法月 綸太郎 2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。そ ...

頼子のために  法月 綸太郎 「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、 ...

生首に聞いてみろ 法月綸太郎 著名な彫刻家・川島伊作が病死した。彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推 ...

老人の美学 筒井康隆 年寄嗤うな、明日の自分。 最初で最後、最強の人生論! 青年、中年からやがて老年へ。人生百年時代にあって も、「老い」は誰にとっても最初にして最後の道行き なのだ。自分の居場所を見定めながら、社会の中でど う自らを律すればいいのか。周囲 ...

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 阿部 謹也 《ハーメルンの笛吹き男》伝説はどうして生まれたのか。13世紀ドイツの小さな町で起こったひとつの事件の謎を、当時のハーメルンの人々の生活を手がかりに解明、これまで歴史学が触れてこなかったヨーロッパ中世社会の差別 ...

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