東京自叙伝 奥泉光,
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明治維新から第二次世界大戦、バブル、地下鉄サリン事件、福島原発事故まで、帝都トーキョウに暗躍した謎の男の無責任一代記! 滅亡する東京を予言する一気読み必至の長編小説。(解説/原武史)


☆「純文学」と言う視点でどうなのかはわからないが、作者特有の饒舌な語り口で一気に読ませるエンタメ作。

 これも「地霊」と言う視点で学術的にどうなのかはわからないが、実在した人物を含め地霊が実態化したものとして同一の私として語られる「東京」の自叙伝とは斬新で、タイトルでは全く予想も付かなかった。内容は現代史の実録ルポみたいなものではあるが、とても楽しく読ませてもらった。地霊であるから人間の道徳など無関係と言う免罪符を持ち、自分勝手に暴れ回る無責任ぶりは、ある意味痛快。

 もともと太古から東京に存在し動物でもあった地霊が、福島原発事故を鼠として体験し、原発作業員となる最終章は、分量は乏しいが、東京が繁栄の影で実は滅んでしまうと言う、未来予言のような内容で、オリンピックが延期となった今読むと、暗示的で実に興味深い。ただ、エンタメ作としては尻切れトンボな感は否めないと思う。


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