マスカレード・イブ 東野圭吾
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ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。


☆マスカレードホテルの方を先に読んでいたのでなるほどと思ったが、そうでなければ新田刑事登場の短編だけ違和感を覚えたに違いない。それも最終話である表題作で結びつき、本編への期待を煽る書き方はさすがに巧みだ。

 比較的軽めで気軽に読める短編集だが、どの作品でも、人は皆仮面を被っている、というマスカレードシリーズを貫くテーマが表現されており、納得の出来栄え。ミステリとしての出来はイマイチと思ったが、覆面作家の真相を探る作品がずばりテーマに迫っていて印象に残った。


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