京都寺町三条のホームズ(13)-麗しの上海楼
無題
ジウ・イーリンに請われ、美術展での鑑定のために円生、小松とともに上海を訪れた清貴。優雅な上海滞在のはずが、突然、菊川史郎からニューヨークにいる葵の隠し撮り写真が送られてくる。史郎は葵の身の安全を条件に、清貴に、ある絵を盗み出すように言う。清貴は葵のため、そして家頭誠司の汚名を晴らすために立ち上がる――上海とニューヨークをまたにかけた2ヶ月連続刊行、第一弾!


☆このシリーズ、1巻から欠かさず読んでレビューも書いてるのだが、50男の私は明らかに読者として想定されていないと痛感。何度も同じ事を書くようだが、キャラクターが完全に女性の願望充足なので、物凄く居心地が悪いのだ。イケ面で高学歴、誰からも一目置かれる完璧なホームズ君が典型だが、唯一の欠点が婚約者の葵と言う描き方。男から見ると、これ程共感出きないキャラも珍しいが、女性読者なら自分を葵に置き換えて楽しめるんだろうな、と推察。その他、円生にしろ利休にしろ、いかにも女性作家らしいキャラのオンパレードで、イラスト付きのキャラクター紹介ページを見て、読者としての場違い感がハンパなかった。

 シリーズものは基本全部読む主義と言い訳してきたが、京都を初め観光地案内的内容や美術工芸のウンチクなどは楽しいし、一応ミステリーとしてキチンと仕上げる作者の腕は信頼してるので、場違いな私でも読み続けて来ている。今作の舞台上海は昨今の情勢を考えると危険な選択と思ったが、考えすぎか。

 最後に女性読者の夢を壊すようだが、葵はなぜ熱愛されるんだろう。どう見てもモテモテの清貴が、葵一筋のわけないけどなあ、と男目線では感じてしまった。


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