本の読み方 スロー・リーディングの実践 平野啓一郎
41eCOaCmRTL__SX344_BO1,204,203,200_


本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか? 闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術を大公開。 「スロー・リーディング」でも、必要な本は十分に読めるし、少なくとも、生きていく上で使える本が増えることは確かであり、それは思考や会話に着実に反映される。決して、私に特別な能力ではない。ただ、本書で書いたようなことに気をつけながら、ゆっくり読めば、誰でも自ずとそうなるのである。(中略)読書は何よりも楽しみであり、慌てることはないのである。(「文庫版に寄せて」より)情報が氾濫している現代社会だからこそ、著者は「スロー・リーディング」を提唱する。「量」より「質」を重視した読書経験は、5年後、10年後にも役立つ教養を授け、人生を豊かにしてくれるだろう。夏目漱石、森鴎外、フランツ・カフカ、川端康成、三島由紀夫など不朽の名作から自作の『葬送』まで――。深く理解することが可能になる、知的で実践的な読み方を紹介する。新書版を加筆・修正し再編集。 ●「速読コンプレックス」からの解放 ●「量」の読書から「質」の読書へ ●なぜ小説は速読できないのか ●5年後、10年後のための読書 ●小説には様々なノイズがある ●書き手の視点で読んでみる


☆平野啓一郎は現役京大生で芥川賞作家となったインテリ、と言うイメージがあるせいか、まるで現代文学読解の授業を受けているような内容だった。平野先生はカッコ良くて、特に女子には評判も上々だとか。ただ乱読オヤジの私は、いちいち辞書を引いたり、線を引いたりしながら読書なんかしないよな、と正直思った。

 そもそも速読法が文学作品にそぐわないのは当たり前なので、その批判は余り意味がないように思った。ただ速読の批判としてはともかく、文学作品の鑑賞の仕方として読めば面白く、さまざまな示唆に豊む内容だった。あえて「スロー・リーディング」として、速読法の批判本としない方が良かったのではないだろうか。



その他社会問題関係レビュー一覧