劫尽童女 恩田陸
無題


父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、7年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに! 激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが――。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か?。


☆何の予備知識もなく読んだが、読者の意表を突くスト-リー展開で、面白く読む事が出来た。ただ演出過剰と言うか、リアリティには欠け、荒削り。特に核ミサイル処理に失敗して多くの人間が死に放射能が拡散される大事故のエピソードは、さすがに如何なものかと思った。  だが、核兵器や地雷撤去などの今日的なモチーフを取り入れ、全編に漂う豊穣な視覚的イメージは魅力十分。意欲的な力作と評価したい。


恩田陸レビュー一覧