地下街の雨 宮部みゆき
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麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。しかし挙式二週間前に突如破談になった。麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤めはじめた。その店に「あの女」がやって来た…。この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えない」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」など七つの短篇。どの作品も都会の片隅で夢を信じて生きる人たちを描く、愛と幻想のストーリー。


☆ストーリーテラーの達人宮部みゆきが多彩な芸を見せる短編集。ホラーテイストな話が多いようだが、怖いと言うより奇妙な話と言う印象を受けた。さすがに巧い作品ばかりで粒揃いなのだけれど、それほど強烈な印象を受ける作品はなかった。又時代背景から古くささを感じさせる内容(特に電話に関して)もあるし、種明かしされると陳腐さを感じる作もあったが、決して読んで損はない作品集である。


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