図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) 有川浩
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思いもよらぬ形で憧れの“王子様”の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。加えて、地方の美術展で最優秀作品となった“自由”をテーマにした絵画が検閲・没収の危機に。郁の所属する特殊部隊も警護作戦に参加することになったが!?表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでも恋も…!?危機また危機のシリーズ第3弾。


☆今巻の目玉は「差別語と自主規制」ではないかと思った。「床屋」が差別語に指定されているため、メディア良化委員会による検閲を恐れた雑誌側が別の言葉で言い換えたところ、俳優側からクレームが、と言うエピソード。本書は架空の近未来が舞台のSFだけど、今現在十分に横行している問題で刺激的だった。
 私自身18禁小説をブログに掲載し強制閉鎖前科4犯なので、言いたいことは山ほどある。差別語とは違うが、いわゆる卑語を言い換えたり伏せ字にする、と言うのは18禁メデイアでは良くあることだ。が、多くの場合は実際に規制されていると言うより自主規制であり、私は言い換えも伏せ字もしない主義である。卑語の実例は出さないが、太古から誰でもやってる人間の生殖行為を文字にするのがタブーだなんておかしいではないか。ちなみに私のブログ強制閉鎖は主に画像の問題絡みで、文字表現では怒られたことすら一切ない。だから今後も堂々と直接的な表現を用いていくつもりである。
 AV業界が「女子高生」はまずいから「女子校生」と表記するようになったが、これ、児童ポルノの関係で本当にヤバイのだろうと思う。でも、「女子高生」の何が」ヤバイのかと素直に思うし、「女子校生」ならオッケーと言うのも変な話だ。さらに「女○高生」などと言う伏せ字まで目にするようになると、お笑いと言うより、「女子高生」自体を愚弄しているようにすら思われる。本書で「床屋」の差別語扱いに抗議した当事者の業界団体だってそうだろう。言葉狩りには、刈られた言葉を冒涜する意味合いがあるのだ。


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