宝石泥棒 山田正紀
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甲虫を守護神に持つ少年戦士・ジローは、従姉妹ランを愛してしまう。禁忌を破ってその想いを遂げるため、ジローは、女呪術師ザルアー、“狂人”チャクラとともに失われた宝石「月」を求めて旅立った。異形の怪物たちの跋扈する地を経て、三人は「空なる螺旋」を目指す。旅路の果てで知る人類の運命と世界の謎とは?SF的想像力の極限を描き切った鬼才の最高傑作が新装版で登場!


☆山田正紀の代表作と言われている異世界ファンタジーSFの大作。30年ぶりに読み返してみたが、やはり山田正紀はうまいなあと感心する反面、絶賛するには何かが足らないようなもどかしさを感じた。この世界に跳梁跋扈するバケモノ同然の生物を作り上げた力業は凄いのだけど、個人的に生理的嫌悪を催してしまったのもある。又終章のSF的種明かしも当時ほど驚けなくなってしまったし、ラストを含めた全編に漂う暗い救いのなさも大作だけに気になった。

山田正紀レビュー一覧