水滸伝 十九 旌旗の章 北方謙三
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最終決戦の秋(とき)が訪れる。童貫(どうかん)はその存在の全てを懸けて総攻撃を仕掛けてきた。梁山泊は宋江(そうこう)自らが出陣して迎え撃つ。一方、流花寨(りゅうかさい)にも趙安(ちょうあん)が進攻し、花栄(かえい)が死力を尽くし防戦していた。壮絶な闘いによって同志が次々と戦死していく中、遂に童貫の首を取る好機が訪れる。史進(ししん)と楊令(ようれい)は、童貫に向かって流星の如く駈けた。この国に光は射すのか。漢(おとこ)たちの志は民を救えるのか。北方水滸、永遠の最終巻。


☆遂に落城の時を迎えた梁山泊。好漢達が次々に命を落とす中、やはり印象的だったのは総大将の宋江。周囲の制止を振り切って出陣し、一兵士として戦ったのは、戦略的な意味はなかったと思うが、散り際の美学を持たせてもらったと思う。
 一方若武者楊令は、宋国側の総大将童貫に突撃し、心胆を寒からしめる肉薄を見せる鮮烈なデビュー。水滸伝は終わっても、彼が主役で再起を図る次作以降の布石となった。格好良い終わり方で締めくくり、文句なし。


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