珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで 岡崎琢磨
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五年前に失意の美星を救ったのは、いまは亡き大叔母が仕掛けた小さな“謎”だった―。京都にひっそりとたたずむ珈琲店“タレーラン”の庭に植えられたレモンの樹の秘密を描いた「純喫茶タレーランの庭で」をはじめ、五つの事件と書き下ろしショート・ショートを特別収録したミステリー短編集。


☆本編番外編でバラエティ豊かな短編集。ミステリとしては何編か語り手を意図的に変える叙述トリックを駆使する才気を見せ、「パリエッタの恋」では、なるほどと感心させられた。ただ、この手法は読者をミスリードするのに有効だが、読み辛いと言う難点もあり 手放しで賞賛出来るわけではない。又、これまでの読者が対象ではあるが説明不足が感じられ、読んでいて疑問を感じる箇所が目立った。例えば、「消えたプレゼント・ダーツ」の主人公は初対面の筈のアオヤマや美星バリスタについてなぜか知っているみたいだし。総じて作者の才気は感じられるが、小説としてアラなく仕上げる技量が不足しているのではないか。今後に期待である。

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