教育激変-2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ 池上彰 佐藤優
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2020年度、教育現場には「新学習指導要領」が導入され、新たな「大学入学共通テスト」の実施が始まる。なぜいま教育は大改革を迫られるのか。文科省が目指す「主体的・対話的で深い学び」とはなにか。自ら教壇に立ち、教育問題を取材し続ける池上氏と、「主体的な学び」を体現する佐藤氏が、日本の教育の問題点と新たな教育改革の意味を解き明かす。巻末鼎談には大学入試センターの山本廣基理事長も登場。入試改革の真の狙いを語りつくした。


☆英語を使う仕事をしているので非常に興味深く、短時間で読み終えた。私自身は、英語に関してはセンター試験を高く評価しており、利権との絡みが見え隠れする外部試験の導入には懐疑的である。ただ、新テストについては良く分かっていなかったのだが、本書で紹介された国語の問題を見る限り良問だと思った。大量の答案を迅速に処理する事に不安は残るが。
 実際に大学で教えている2人の対談だけに説得力があり、少なくとも、文科省のやる改革だから、と言うだけで批判するような薄っぺらい議論でなかったのは確か。ただアクティブ・ラーニングが有用なのは確かだろうが、日本の現状ではそれに耐える基礎学力の不足した生徒が大半なのではなかろうか。私は良問と思ったが、本書で紹介された国語の問題が解けるのは一握りの生徒だと思う。それでも良い、いわばエリート教育を是とすべきかどうかについても言及がなされており、読み応えのある良書であった。


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