涼宮ハルヒの憤慨 谷川流
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年度末のある日、生徒会長からハルヒではなく長門に下された召喚指令。素直に出頭した長門と古泉と俺に言い渡されたのは、『文芸部』の無期限休部と部室明け渡し勧告だった。どうやらSOS団潰しを目論んだ会長が、俺たちから活動拠点を奪う作戦に出たらしい。文芸部を維持する方法はただ一つ、文芸部らしい活動をすること。“編集長”として息巻くハルヒの号令の下で、俺たちは原稿執筆に励むことになり…!?


☆SOS団発足1周年を振り返る巻。(周囲がお膳立てしたからだが)数々のイベントを経験したハルヒの精神は安定し、キョンと一緒に2年に無事進級しそうで、それが面白くない勢力が陰謀を企てているらしいとの情報も。ハルヒが自分でも意識していない世界を改変する力を秘めている、と言うSF設定を抜きにしても、彼女の人間的成長は望ましいもので、キョンとの、そしてSOS団員との絆も深まったようで、読んでいてホッとする巻だった。 
 私はハルヒとキョンの女性上位的SM関係を指摘して来たが、これは現代日本社会一般に当てはまるのではないかと思う。キョンが傍若無人なハルヒを認め、彼女がハツラツと高い能力を発揮するのに喜びを見出す。これって多くの世の「お父さん」の姿であると思ったが、どうか。


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