悪の教典(上)貴志 祐介
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とびきり有能な教師がサイコパスだったとしたら、その凶行は誰が止められるのか?

晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAから信頼され彼らを虜にしていた。そんな〝どこから見ても良い教師〟は、実は邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。少年期、両親から始まり、周囲の人間をたいした理由もなく次々と殺害してきたサイコパス。美形の女生徒をひそかに情婦とし、同僚の弱みを握って脅迫し、〝モリタート〟の口笛を吹きながら、放火に殺人にと犯行を重ねてゆく。

社会から隔絶され、性善説に基づくシステムである学校に、サイコパスが紛れこんだとき――。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作長編。

デビュー以来、著者のテーマである〝心を持たない人間〟を中心に据えたピカレスクロマン。「悪の教典」を現在とするならば、その過去にあたる「秘密」、未来にあたる「アクノキョウテン」の小話も併録。解説は三池崇史(映画監督)


☆上巻を読んだ時点での感想。実写映画化もされたようだが、見てはいない。なかなか上質なピカレスクロマンで、読む者を惹き付ける筆力が素晴らしい。かなり分量があるが、あっと言う間に読み終えた。個人的にこの主人公と同じ高校の英語教員を昔やってた事もあって、とても興味深く読むことが出来た。
 この悪の権化みたいな主人公がどんな結末を迎えるのか、下巻に期待したい。女子生徒全員をハーレムにしてしまうのが私の希望だが、それだと安っぽい18禁小説になってしまう。最後まで他人に共感されない絶対悪を貫いて欲しいものだ。


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