この国のかたち〈2〉司馬遼太郎
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この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な型というものを大小となく煮詰め、エキスのようなものがとりだせないか―。日本史に深い造詣を持つ著者が、さまざまな歴史の情景のなかから夾雑物を洗いながして、その核となっているものに迫り、日本人の本質は何かを問いかける。確かな史観に裏打ちされた卓抜した評論。



☆雑誌の巻頭エッセーをまとめたものらしくテーマがあちこち飛ぶが、普通そこまで知らないような雑学的知識が楽しい。例えば「金」について。「黄金の国ジパング」と聞いて? と思ったものだが、実際に日本が優秀な産金国だったとは知らなかった。そして「金」の産出が仏教伝来と大きな関係のあることも。あのキンキラキンの仏像を作るために「金」が必要だったのか。確かに貨幣経済自体成立してなかった時代、それくらいしか「金」の価値は見いだせまい。
 これは一例で、今巻では経済や文化方面の話題が多かったと思う。学校で習う「日本史」ではおまけみたいに扱われてる分野なので、なるほどそうだったのか、と思わされる知識が満載。歴史小説を書くのにありったけの参考図書を読み漁ったと言われる司馬遼太郎。さすがに博識ぶりのケタが違いますな。


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