この国のかたち (三)司馬遼太郎
f289cf16



革命をおこした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輪出したがるという点で、古今に例が多い。明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。―この国の歴史のなかから、日本人の特性を探り出し、考察することによって普遍的なものとはなにかを考える。



☆相変わらず、教科書には載らない雑学的スキマ知識が興味深い。どの項も面白いんだけど、一貫して何かを訴えようと言うものではないのは、週刊誌の連載だから仕方ないか。
 あえて個人的に考えさせられたのは、明治期の懸命に西洋文明を取り入れ追い付こうとした人達について述べた「文明の配電盤」。国策で留学して帰国した人達の志の高さに感銘を受けたのだが、今の日本にこれだけ懸命な人達がいるだろうか?寝食も惜しんで勉学に励む姿を下宿屋が心配して注意すると「私が一日休めば日本の文明開化も1日遅れるのだ」。いわゆる先進国になって、先人の遺産を食い潰しているだけの日本人になってはいないだろうか? 私などが言うのは僭越そのものだろうけどね。 


司馬遼太郎レビュー一覧