翔ぶが如く (5) 司馬遼太郎
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征台の気運が高まる明治七年、大久保利通は政府内の反対を押し切り清国へ渡る。実権を握る李鴻章を故意に無視して北京へ入った大久保は、五十日に及ぶ滞在の末、ついに平和的解決の糸口をつかむ。一方西郷従道率いる三千人の征台部隊は清との戦闘開始を待ち望んでいた。大久保の処置は兵士達の失望と不満を生む。


☆いつになく読破するのに時間が掛かった。面白くなかったわけではなく、興味深い話ばかりで読み飛ばせなかったのだ。大久保利通が台湾出兵の後始末をするため自ら清国に乗り込むのから始まり、多士済々な人物に話が移り変わりながら、西南戦争に突き進む当時の情勢が実に細かく述べられている。そもそも今巻では西郷隆盛自体登場しないのだが、それで興が削がれる事も全くなかった。
 あまりに多くの人物を取り上げ過ぎのきらいはあるが、理解するのが困難な時代情勢を群像劇で見事に描いていると思った。


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