街道をゆく〈21〉神戸・横浜散歩ほか 司馬遼太郎
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関西学院の創始者の墓、日本で最初に靴をつくった人の墓、米国の初代長崎領事だった人の墓、日本の洋菓子の基礎を築いたモロゾフさんやフロインドリーさんの墓、明治元年のいわゆる堺事件で死んだフランス水兵11人の墓。安芸・備後のみちと、神戸・横浜の港散歩。


☆ いつもながら司馬遼太郎の幅広い学識に裏打ちされた蘊蓄話がとても楽しい紀行文。前半では浄土真宗の教義と他の宗派との違いや、それによってその地に民話が成立しにくくなる事など、身近でも初耳で興味深かった。後半は神戸・横浜と言うよく似た貿易港の町の比較対象が実に面白い。どちらも実際の町を歩いての印象を織り交ぜながらなので、なおさらだ。個人的には知っているつもりだった事が、ただの印象に過ぎなかったのを知るのが快感。

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