この国のかたち〈6〉司馬遼太郎
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十年間続いた「文藝春秋」巻頭エッセイは未完のまま終わることとなった。本書は、絶筆となった「歴史のなかの海軍」の他、書き言葉としての日本語の成り立ちを考察した「言語についての感想」「祖父・父・学校」などの随想、講演記録「役人道について」を収録。日本の未来に警鐘を鳴らし続けて逝った、不世出の作家の白鳥の歌


☆作者の絶筆となった「歴史のなかの海軍」より以後の付け加えみたいな随想集の方が面白かった。特に「言語についての感想」はなかなか考える事のない視点で日本語の変遷について書かれており、読書好きには非常に興味深い話だった。先人の努力により、現在の日本語は何ら不自由なく世界中の叡智を記述する事の出来る言語であり、明治維新直後のように外国の知識を取り入れるため外国語を必要とした時代ではないのである。にも関わらず、「グローバル化」などと言う言葉のもと、英語を必要以上にありがたがる昨今の風潮は嘆かわしい。日本は植民地ではないのだと個人的に思う。

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