この国のかたち (一)司馬遼太郎
b778cf16


日本は世界の他の国とくらべて特殊な国であるとはおもわないが、多少、言葉を多くして説明の要る国だとおもっている――長年の間、日本の歴史からテーマを掘り起こし、香り高く稔り豊かな作品群を書き続けてきた著者が、この国の成り立ちについて研ぎ澄まれた知性と深く緻密な考察をもとに、明快な論理で解きあかす白眉の日本人論


☆司馬遼太郎が週刊誌に連載していた巻頭エッセーらしい。各回のテーマは結構バラバラだけど、いわゆる「司馬史観」の片鱗が窺えて興味深く面白い。
 この巻では、太平洋戦争を引き起こした軍部の独走を厳しく批判し、昭和初期からの時代を日本史上特異な時代と位置づけているのが異彩を放つ。あの時代だけは封印して日本史の連続性を考えたいとまで述べているのは、やはり司馬遼太郎自身の従軍体験が批判的にしか見ることが出来ない要因なのだろう。ノモンハン事件について大量の資料を用意しながら、遂に執筆することの出来なかった司馬遼太郎。もし存命なら現在の右傾化して危うい日本についてどんな言葉を残してくれただろう。などと夢想しなくとも、残された著作物が十分な重みを持っているように思われる。
 何を言いたいのか要を得ない感想になってしまったが、素人エロ小説書きの戯れ言なのでご容赦を。


司馬遼太郎レビュー一覧